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なでしこ

最近読んだ本ベスト5
・ 海峡を渡ったバイオリン
・ 一本桜(山本一力)
・ 告白(ジェンキンス)
・ 背負富士・梅咲きぬ
・ マンドリン物語
最近私は、「山本一力」さん
の本にはまっている。
人情時代劇は、癒し系の本
なのかもしれませんね。
今度背負富士がNHK木曜
時代劇に採用されました。

明治の文豪菊池寛さんの言葉

私の日常道徳

一、私は自分より富んでいる人からは、何でも欣(よろこ)んで貰うことにしてある。
何の遠慮もなしに、御馳走にもなる。総じて私は人から物を呉れるとき遠慮はしない。
お互に、人に物をやったり快く貰ったりすることは人生を明るくするからだ。
貰うものは快く貰い、やる物は快くやりたい。

一、他人に御馳走になるときは出来るだけ沢山喰べる。
そんなとき、まずいものをおいしいと言う必要はないが、おいしいものは明らかに口に出してそう言う。

一、人と一しょに物を喰ったとき、相手が自分よりよっぼど収入の少い人であるときは、少し頑張って
もこちらが払う。
相手の収入が相当ある人なら、向うが払うと言って頑張れば払わせる。

一、人から無心を言われるとき、私はそれに応ずるか応じないかは、その人と自分との親疎によって定める。
向うがどんなに困っていても、一面織の人なれば断る。

一、私は、生活費以外の金は誰にも貸さないことにしてある。生活費なら貸す。
だが、友人知己それぞれ心の裡(うち)に金額を定めていて、この人のためにはこのくらい出しても惜しく
ないと思う金額だけしか貸さない。
貸した以上、払って貰うことを考えたことはない。
また払ってくれた人もいない。

一、約束は必ず守りたい。
人間が約束を守らなくなると社会生活は出来なくなるからだ。従って、私は人との約束は不可抗力の場合以外
破ったことがない。
ただ、時々破る約束がある。
それは原稿執筆の約束だ。これだけは、どうも守り切れない。

一、貴君のことを誰が、こうこう言ったといって告げ口する場合、私は大抵聞き流す。
人は、陰では誰の悪口でも言うし、悪口を言いながら、心では尊敬している場合もあり、その人の言った悪口
だけがこちらへ伝えられてそれと同時に言った賞め言葉の伝えられない場合だって、非常に多いのだから。

一、私は遠慮はしない。自分自身の価値は相当に主張し、またそれに対する他人からの待遇も要求する。
私は誰と自動車に乗っても、クッションが開(あ)いているのに、補助座席の方へは腰をかけない。

一、自分の悪評、悪い噂などを親切に伝えて呉れるのも閉口だ。
自分が、それを知ったため、応急手当の出来る場合はともかく、それ以外は知らぬが仏でいたい。

一、私は往来で帯がとけて歩いている場合などよくある。
そんなとき注意をしてくれると、いつもイヤな気がする。帯がとけているということは、自分で気がつかなけ
れば平気だ。
人から指摘されるということがいやなのだ。
そんなことは、人から指摘されなくても、やがては気がつくことだ。
人生の重大事についても、これと同じことが言えるかも知れない。

一、人への親切、世話は、慰みとしてしたい。義務としてはしたくない。

一、自分に好意を持っていてくれる人には、自分は好意を持ち返す。
悪意を持っている人には、悪意を持ち返す。

一、作品の批評を求められたとき、悪い物は死んでもいいとは言わない。
どんなに相手の感情を害しても。だが、少しいいと思う物を、相手を奨励する意味で、誇張して賞めることは
する。

−−−今月の詩−−−


「表札」      石垣りん
自分の住むところには
自分で表札を出すにかぎる。
自分の寝泊りする場所に
他人がかけてくれる表札は
いつもろくなことがない
病院へ入院したら
病室の名札には石垣りん様と
様が付いた。
旅館に泊まっても
部屋の外に名前は出ないが
やがて焼場の鑵(かま)にはいると
閉じた扉の上に
石垣りん殿と札が下がるだろう
そのとき私がこばめるか?
様も
殿も
付いてはいけない
自分の住む所には
自分の手で表札をかけるに限る
精神の在り場所も
ハタから表札をかけられてはならない
石垣りん
それでよい

              春 の 歌 声
                                                    作/モンタ・クレーン
                                                    訳/平田  純
雨は沛然と、それも、何時間も降り続いていた。
じきに晴れ上がって、帰ってきた日差しを受けた世界のすべてが光輝いて見えるようになる、そん
な春のにわか雨でなかった。
いや、今日という今日は、全世界が暗く陰惨な雲に包まれたように見えていた。
家の中の灯火さえ、この陰鬱さを追い払ってくれそうにもなかった。
そのとき突然、私は聞いた。
重苦しい大気を貫き通す、甲高く澄んだ小鳥の歌を。
私は戸口に駆け寄ると、軒先まで出て、耳を傾けた。と、また聞こえてきた。
「春」のメッセージを込めて、心のありったけを歌う小鳥の澄みきった調べが。
小鳥にとって、世界は暗くもなければ、濡れそぼってもいないし、陰鬱でもなかった。
この小さな生き物は、その小さな胸で、雨はやがて止むだろうし、太陽が再び姿を現すだろう、そ
して、雨のおかげで世界は前にもまして美しくなるのだと知っていたに違いないのだ。
だから、小鳥は雨の止むのを待たないで、春の大洪水のさなかで、歓びに溢れたメッセージを高ら
かに歌い上げていたのだ。
私は立ったまま、しばらくの間、近くの木立の枝の間を、小さな大歌手の姿を求めて見回した。
うまく隠れていて、その姿は見えなかった。
メッセージを届けるために、別に姿を現す必要がなかったのだ。
小鳥の小さな喉は、横溢する歌声できっと裂けんばかりだったろう。
雨に濡れないようにしながら、まだしばらく聴き耳をたてていると、私は姿の見えない小鳥の爽や
かな歌に、私の心が高く晴れやかになっていくのを感じ取った。
仕事に戻る前に、私は暗い空を眺め回した。
はっきりそうだとは言えなかったが、暗い雲が少し、わずかに切れかかっている、と思えた。
本当に太陽は姿を見せてくれるのだろうか?それとも、あれは、私の心の中で響いた、小鳥の歌の
こだまなのかしら?
どっちにしても、世界は前よりも明るく、爽やかだった。
ちっぽけな生き物の一つが、そうあらせようとして力の限りを尽くした。ただそれだけのことでだが。
(私たちが、それ以下で済ませていいものだろうか?)

読んだら面白かった本ベスト20+α

声に出して読まなくてもいい本

作 品 名
作 者 名
あらすじ
三国志吉川 英治魏、呉、蜀の三国の英雄による国取り物語
国取り物語司馬遼太郎美濃の油売り斎藤道三の出世物語
孤高の人新田 次郎単独行登山家加藤文太郎の人間ドラマ
破獄吉村 昭刑務所を脱走した、日本版リチャードキンブル
点と線松本 清張心中事件から始まる、列車の時刻表を駆使した推理小説
天の川の太陽黒岩 重吾壬申の乱で有名な大海人皇子を描いた古代史小説
氷壁井上 靖ザイルが切れて遭難した実話を元に描いた山岳小説
白い巨塔山崎 豊子大学病院の教授たちの病巣を描いたフィクション
無影燈渡辺 淳一医師免許を持っていない青年を内面からえぐった小説
吉里吉里人井上ひさしとにかく抱腹絶倒、架空の王国の物語
連如丹羽 文雄浄土真宗本願寺中興の祖の一代記
走れメロス太宰 治友人の命と自分の命と約束と心の葛藤と
山椒魚井伏 鱒ニ頭が大きくなり洞窟から出れなくなった山椒魚と蛙のディベート
次郎物語下村 湖人少年次郎の貧しくも真摯に生きていく物語
坊ちゃん夏目 漱石四国の学校に赴任した坊ちゃんの痛快劇
城崎にて志賀 直哉城崎の旅館での写実的小説
路傍の石山本 有三少年吾一の人生を描いた本
フェイズ3の眼柳田 邦男国立がんセンターの創設期の医師たちのドキュメンタリー
複合汚染有吉佐和子題名の通り公害問題に真っ向から取り組んだ警鐘作品
日蓮川口松太郎「立正安国論」を著した日蓮上人の生涯を描いてある
枯れ蔵永井するみ農業・男・女を題材にした推理小説
木に学べ西岡 常一斑鳩の里法隆寺の修復に一生をささげた宮大工の名著
シャーロック・ホームズコナン・ドイル推理小説
検察官ゴーリキー役人と一般大衆の嗚呼勘違いの巻喜劇、劇作
第三の波アルビン・トフラー昭和55年の社会での出来事をあらゆる角度から分析し未来にむけた書
大地パール・バック1930年頃の中国農民の苦悩と反動と努力を描こうとした作品
怒りの葡萄スタインベックオクラホマで死活をかけた農民の一大叙事詩
功名が辻司馬遼太郎織田、豊臣、徳川の三人に仕えた山内一豊の妻「千代」の物語
宮本武蔵吉川 英治剣豪武蔵の修行時代から佐々木小次郎と戦う寸前までの話


上記の作家達が発表している作品は数え切れない程ありますが、どれも逸品だと思います。
基本的には一作家1作品を紹介致しました。

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